AI、IoT、ブロックチェーン、そして進化する保険業界の未来

デジタル技術により、保守的な企業がイノベーションの研究所に変わりつつある

保険業界は、一般的に保守的な業界と言われています。しかし、デジタル時代に直面する今、この業界が変えなければいけないのは、まさにこの保守的とされる特性なのです。保険業界を含むすべての業界は、このデジタル主導型の大変革から逃れることはできません。消費者は、カスタマイズ、パーソナライズ、リアルタイムレスポンスをますます求めるようになっています。さらに、デジタル・ディスラプションの潮流にのって、デジタルに移行する既存保険会社に加え、新規参入者が市場に参入し、企業間競争が激しくなってきています。この変化の激しいグローバル環境において、保険会社は何もしないでいるというわけにはいきません。

このような状況から、特に保守的なこの業界において、人口知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、ブロックチェーンなどの最先端テクノロジーに関する話題が、急速に大きな注目を集め始めています。

リスクの把握と管理を専門とするこの業界の技術的現状は、あまりにも柔軟性を欠き、将来のニーズに応えることができなくなってきています。つまり、保険業界にとって、この現状自体が非常にリスキーなものになっているということです!さらに、企業間での直接的な個別データ交換を可能にするデジタルインターコネクションは、保険業界の変革の中で大きな役割を果たすことになります。なぜならば、業務効率向上や他社との連携による保険商品の改良にはインターコネクションが必要不可欠だからです。保険会社はその規模に関係なく、今ここで述べた前提に基づき競争していかなければなりません。

 

さまざまな対応

PwCが2017年に実施したCEO意識調査で明確になったことは、保険業界の経営者たちは変化に対抗しているのではなく、逆に変化を受け入れ始めているということです。以下の事実をご覧ください。

  • 保険業界の回答者のうち67%が、組織には創造性とイノベーションが不可欠であると答えています。これは他の金融サービス分野よりも高い数値です。
  • 61%が、人と機械との協力から得られるメリットを追求していると答えています。これも他のどの金融サービス分野よりも高い数値です。

 

この革新に対する明白な意欲は、エクイニクスが発表した市場調査、『グローバルインターコネクションインデックス』の結果にも合致しています。本インデックスの予想では、銀行・保険業界のインターコネクション帯域は、2020年までは61%の年成長率が見込まれ、世界規模で見た銀行・保険業界のインターコネクション帯域量は、同年までに全業界中で最高(958テラビット/秒、下図参照)になると予想されています。

この数値は、従来からインターコネクションを積極的に活用してきた通信、クラウド、ITサービス業界よりも、高いものとなっています。

 

保険を契約する顧客は、リアルタイム性のあるセルフサービスのユーザーエクスペリエンスを求めるようになってきました。このニーズを実現する為には、インターコネクションが鍵であるということがこの図表から読み取れます。

例えば、AIを備えたバーチャル保険外務員やチャットボットを考えてみましょう。これらは一般的なカスタマーサービスの問題に対応することができます。オンデマンドに動作するよう設計され、顧客が人間の外務員から折り返しの連絡を待つ時間や問い合わせの順番を待つ時間を節約してくれます。多対多の接続は、顧客から提供されるデータをリアルタイムで収集、分析、処理し、さまざまな参加者を結び付けるためにきわめて重要です。どこにいようとも、当事者間の距離が近いということが重要です。なぜならば、近接通信によって遅延が低減され、接続パフォーマンスが高まるからです。このことは、ビデオ通話やチャットセッションに不可欠です。今まで挙げてきたことをすべて実現するには、直接接続によって交換されるデータを送受信するのが最も安全な方法です。交換されるデータは、センシティブな取り扱いが必要となる個人情報である場合が多いからです。

インターコネクションの本質は、この近接的かつセキュアな多対多の直接接続を、グローバルに実現することです。

最新テクノロジーを活用

保険会社がIoT、AI、ブロックチェーンなどの重要な最新テクノロジーをどのように活用してきているのかを見ると、デジタル技術が保険業界の変革にどれほど寄与しているかがわかります。

モノのインターネット(IoT)

  • フィットネス向けウェアラブル端末などのセンサーを装備したデバイスは、利用者の活動、ダイエットの状況、脈拍や呼吸などのバイタルサインを測定できます。これを利用すれば、保険会社は、顧客の健康状態を評価、予測することができます。将来、顧客の病気を減らし、ひいては保険金請求を減らすことにつながります。
  • テレマティックス自動車保険では、被保険者の実際の運転頻度や運転習慣(危険運転か安全運転か)によって保険料率が決定されます。この保険では、IoTセンサーによって提供されたデータを分析し、「優良ドライバー」度を判断します。
  • スマートホームのオーナーは、モニタリングシステムによってセキュリティを高め、不法侵入のリスクを下げることができます。このモニタリングシステムは、ネットワークにつながった玄関ドアのベルなどのIoT機能を持ったデバイスを活用しています。この種のドアベルは動作感知装置と暗視機能を備えており、オーナーは自分が世界中のどこにいても、ドアの前にいる人と話すことができます。

 

人工知能(AI)

  • AIを備えたカスタマーサービス向けチャットボットは、リアルタイムの接客やカスタマイズされたサービスといった若年層顧客からのニーズに応えるために上手く設計されています。同時に、費用削減という企業側のニーズも満たします。音声認識技術の改良に伴い、チャットボットはさらに高性能になるでしょう。チャットボットはすでに驚くほど効率的です。ニューヨークにある保険会社Lemonadeは、「A.I.Jim」というチャットボットを利用しています。A.I.Jimは最近保険金の支払業務を任されましたが、1件当たり3秒以下で処理します。単純な支払請求の処理でさえ、通常は、はるかに長い時間を要します。他の国に目を向けると、中国では、Zhong An(衆安保険)が完全なオンライン保険会社として設立されました。同社は、AI主導の外務員を全面的に活用することで業務運営を行い、優れたカスタマーエクスペリエンスを提供しています。
  • AIにより、ドローンも、保険会社に役立つ、新たな水準の実用性を備えてきています。保険会社はすでに、接近困難な被災地にドローンを展開し、損害に関する記録を行っています。例えば、AIを備えたドローンは高いコンピューティング能力を持ち、写真には写っているが人間では確認できない損害を探知することができたり、計算処理中のデータの利用法を即座に決定することにより、最終的に保険請求処理のスピードを速めることができます。

 

ブロックチェーン

  • ブロックチェーンでは、取引にはタイムスタンプが記録され、変更することができません。つまり、データの同一性は確保され、データ全体がきわめて信頼のおけるものになり、不正を容易に探知できるようになります。これは保険業界にとってきわめて重要な意味を持っています。なぜならば、不正請求の約65%は、発見されずに支払処理されているからです。国際金融協会によると、米国と欧州だけでも年間約600億ドルの不正請求が提出されています。したがって、不正請求を大幅に抑制できれば、保険会社の純利益は相当改善すると考えられています。
  • ブロックチェーンの高い信頼性とセキュリティによって、スマートコントラクトのような新たなサービスも可能となるでしょう。スマートコントラクトとは契約の履行を自動的に行える契約であり、ブロックチェーンが誕生するまではほぼ理論上のものでしかありませんでした。例えば、スマートコントラクトを利用した生命保険では、保険契約者が亡くなった場合、保険会社は死亡証明書を電子的に確認することで保険金を受取人に即座に支払うことができます。人間による関与を排除(または大幅に削減)することによって請求処理のスピードは上がり、間違いや遅滞は減少します。その結果、保険契約者のニーズを十分に汲み取った、優れたサービスを提供できるようになります。

 

上記の方法などに見られるように、保険業界におけるイノベーションとインターコネクションは、この業界が発展を続ける中、引き続き不可分の関係であり続けるでしょう。銀行・保険業界および世界のさまざまな業界におけるインターコネクションの成長に関する予測については、『グローバルインターコネクションインデックス』をご覧ください。

 

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