5Gとサービスデリバリの将来

ソフトウェア定義インターコネクション(相互接続)による5Gの進化

過去長い間、5Gはバズワードと混乱の中で語られる、現実とはほど遠い概念にすぎませんでした。それが今、誇大宣伝の域を離れて具体的なサービスを伴うフェーズに移行しようとしています。英国ではまずBTが、今年530日に国内6都市でEEのネットワークを用いて商用5Gサービスを開始すると発表しました。これに引き続いてVodafoneが同様の発表を73日に行う予定であり、他社もこれに大きく後れることなく追随すると考えられます。

5Gが現実になるにつれ、誰もが口にするのは「どんなメリットがあるのか?」という疑問です。おそらく最も明白なメリットは通信速度の大幅な高速化であり、その速度は現在の4Gと比べて最大20倍高速になります。2時間の映画をダウンロードするのに、3Gでは26時間、4Gでは6分かかりますが、5Gでは最速3.6秒で済んでしまいます。このような通信速度の大きな進化は多くの人々の目を引くでしょう。

しかし、5Gは単に高速バージョンの4Gではありません。5G展開初期に共通するユースケースの1つとして考えられるのは、モバイルネットワークの密度容量を最大100倍まで拡大することであり、通信業界ではこれを高速大容量モバイルブロードバンド(EMBB-Enhanced Mobile Broadband)と呼んでいます。このようなモバイルネットワークの「高密度化」により、さらに多くの人々が同時に、互いに接近している場合でも、サービス品質の低下なしに非常に大きな帯域幅を消費できるようになります。使用できる帯域幅が増えれば、(多くの業界に見られるように)そのユースケースの幅が広がるので、これは重要なポイントとなります。

また、スイスや米国などでは、構内での物理的なファイバー実装が難しかったり、コストがかかり過ぎたりする場合には、固定無線アクセス(FWA-Fixed Wireless Access)または「エアファイバー」を提供するために5Gが使用されています。この最たる例は、米国の通信企業C Spireが最近展開した5Gサービスであり、ミシシッピ州内の住宅84戸に5ミリ波による通信サービスを提供開始しています。このサービスでは、最大750Mbpsのダウンロード速度と最大600Mbpsのアップロード速度、また8ミリ秒と非常に低いレイテンシーが達成されています。言うまでもなく、このようなイノベーションは、個人や企業、また産業にも大きなメリットをもたらします。

 

レイテンシー問題

5Gのもう一つの重要な特性として超低レイテンシー(ULL:Ultra-low Latency)が挙げられます。4G50ミリ秒と比べて5Gでは約1ミリ秒までのレイテンシー低下が期待されており、今後の数多くのアプリケーションに多大な影響をもたらすでしょう。

5GがまずEMBBFWAで利用されることを想定すると、遅延や不利な条件に影響されることなくプレーヤー同士がリアルタイムで競い合える、インタラクティブゲーミングが5Gのメリットを受けるアプリケーションの一つになるでしょう。5Gがゲーミング市場にもたらすチャンスは非常に大きく、ダウンロード速度が遅い地方に暮らす人々が非常に高いレベルでプレイできるようになるだけでなく、クラウドベースのゲームがメインストリーム市場で受け入れられるための触媒の役割を5Gが果たすと考えられます。

5Gによる最大の革新

これまでの主流であったモバイルネットワーク技術と5Gとの間の最も大きな違いは、5Gは人々をつなぐだけでなく、マシン間の接続を目的に設計されている点です。このマシン間接続、つまりモノのインターネット(IoT)市場では何十億台にも上るデバイスが接続されます。これまでの通信ネットワークがとても小規模に思える時代が来るでしょう。

5Gは企業に2つの根本的な変化を生み出すと考えられます。まず、企業が生成するデータ量は過去に例を見ないほどの大きな規模となり、企業はそれらを迅速に移動させて処理するようになります。

例えば、今、人々が大きなイマジネーションを持って議論を続けているアプリケーションの一つである、自動運転車(自律走行車)を例に考えてみましょう。自動運転車が商用化され主流となるまでにはまだ何年もかかると思われますが、最終的には、人間が運転するよりも高い安全性が証明されなければなりません。安全を確保するためは、自動運転車は周囲の状況を即座に「見て」、それを「解釈し」、衝突を回避するために迅速に「反応する」必要があります。

このために、カメラやセンサーを含む多数のデバイスが、車両の内外だけでなく道路付属物や建物にも設置され、デバイスからは毎秒膨大な量のデータが生成されます。この絶え間なく続く「車両とあらゆるモノ」との間の通信は、V2X (Vehicle-to-everything) と呼ばれています。V2Xで生成されたデータは、(自動運転の安全性確保のために)リアルタイムで収集され、関連付けられ、分析処理され、そしてセキュアに保存される必要があります。それら全てのイベントと関連づけられたデータの処理は人間の能力をはるかに上回り、自動化された処理がそれ実現する唯一の方法となります。 

自動化処理は、機械学習や深層学習などの人工知能(AI)によって制御され、継続的に改善されています。そして忘れられがちですが、それを設計し、最終的に制御しているのは人間なのです。TelefónicaInternational Wholesale ServicesOSS/BSS & インフラストラクチャー部門の副部長であるJose Manuel de Arce氏は次のように述べています[1]、「AIとは、データを利用することによって、本来人間がやることをエラーなく高速に処理すること」なのです。

企業にとっての2番目の変化は、技術進化を最大限に活用するためにコラボレーションが必要になるということです。自律走行車を実現するためには、どれだけの組織が関わる必要があるのでしょうか。下図を参照してください。

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幅広い業界でその他の潜在的な5Gのユースケースが見られます。高速化により効率を最大限に高めていけるよう再構成が可能な、高度に自動化された工場が考えられます。遠隔ヘルスモニタリングはNHS(英国国民保健サービス)の多大なコストを削減できるうえ、患者は入院することなく、自宅でより快適に過ごすことができます。中継放送では、大規模な通信ケーブルやカメラからの映像をストリーミングするための大電源、多数の現場中継スタッフが不要になり、地球に優しいだけでなく、より様々な場所から中継放送する機会が広がります。これらすべてを実現するには、程度の差こそあれ、基本的には業界エコシステム内でさまざまな関係者とのコラボレーションが必要になり、それにより様々な領域での変革と発展が推進されます。

ソフトウェア定義のエコシステム

エコシステム内での協業のために、データと、データを生成する組織が、ソフトウェア定義インターコネクション(SDI-Software-defined Interconnection)によりリアルタイムでやりとりし、高度なアプリケーションをサポートする必要があります。5Gにより、データセンターとその内側で実現される相互接続は、世界経済にとってますます重要なものになると言っても過言ではありません。データセンターは、世界で最も価値ある情報が流れるハブの役割を果たし、デジタル経済がそこに形成されるのです。

5Gテクノロジーは、まず最初に無線アクセスネットワーク(RAN-Radio Access Network)領域への導入が進められていますが、最終的にその形態には大きな変更が加えられていくでしょう。様々な新規サービスとユースケース(その多くはまだ想像すらできませんが)のためには、ネットワークサービスプロバイダー(NSP)が進める新しい開発と組み合わせて5Gを利用する必要があります。

エクイニクスは、NSPが必要とするサービスを即時に大規模に提供することにより、RANを支えるネットワークの再設計を支援します。例として、Equinix Cloud Exchange Fabric(ECX Fabric™)は、グローバルなPlatform Equinix®上の分散インフラストラクチャとデジタルエコシステムを、直接、安全かつ動的に接続します。お客様はECX Fabricポータル上で、自社ソリューションを管理し、ほぼリアルタイムでスケーリングすることができます。ITプロフェッショナルが求めているのは、まさにこのようなセルフサービスのモデルであり、これは急速に拡大し続けるデジタル経済において欠かせないものとなっています。新規サービスをより迅速に市場投入していくことは、デジタルディスラプションを乗り越えようとする企業にとって不可欠なのです。

興味深いことに、451 Researchによるレポート『Interconnection Services Evolve with Software Programmable Interconnection』(20193月公開)で指摘されているように、ソフトウェア定義インターコネクション(SDI)はそれ自体が発展して、ソフトウェアプログラマブルインターコネクション(SPI)へと進化しつつあります。このレポートは次のように述べています。「SPIは、多くのデータセンターが既に構築した、またはこれから構築するインターコネクションエコシステムに対して、ソフトウェア定義ネットワーキングとネットワーク仮想化を支えるテクノロジーを適用することで、オンデマンドでネットワーク機能を変更することを可能としていきます。その最終段階が、多数のデータセンターをつなぎ、あたかも1つの巨大なデータセンターであるかのようにエンドユーザーに見せるファブリックです。SPIによって、最終的には、あらゆる主要なパブリッククラウドに企業がオンデマンドで即時にアクセスできるようになることは想像に難くありません」

この451 Reportの見解は、FCX Fabricのような均一なアーキテクチャにおいてSPIの潜在的価値が最も発揮されるであろうというエクイニクスの考えを裏付けるものです。なぜなら、NSPやその他の企業顧客は、一度ECX Fabricに接続するだけで、さまざまなクラウド間でサービスをリアルタイムで消費、連携、提供できるからです。

エクイニクスのアプリケーションプログラミングインターフェース(API)戦略は、世界各地の戦略的ロケーションにある複数のクラウドに対して、標準化されたシンプルなアクセスを実現します。これにより、非常に効率的な方法でクラウド統合が可能となり、NSPは高度でセキュアなマルチクラウドソリューションを構築することができます。これをさらに強化するのが、Colt Technology Servicesをはじめとするパートナーとの連携です。Colt Technology Servicesとの協業による共同提案により、エクイニクスのお客様は、Colt IQ Networkに基づく「オンデマンド」接続サービスが利用可能です。これは、ヨーロッパ地域のエクイニクスデータセンターにオンデマンド接続する初の従量課金制サービスの1つです。このサービスを通じて、お客様はほぼリアルタイムで必要な帯域幅による接続を実装し、スケーリングできるとともに、企業の本社や支社ロケーションからクラウドに接続することができます。

緊密な連携

ソフトウェア定義サービスは、5Gやその他の次世代モバイルサービスにとってきわめて重要であるだけでなく、今後様々な業界やユースケースを変革させていくと思われます。5Gは、接続デバイスと消費者需要の急増に対応し、全てがハイパー相互接続される世界に向けての動きを加速し、ネットワークサービスプロバイダーやデータプロバイダーの価値を何倍にも高めていくでしょう。そして、デジタルエコシステムとデジタル経済の歩みを止めないために、ソフトウェア定義インターコネクションが十分な速度とデータ容量を提供し、新しい5G環境の中心に位置づけられる必要があるでしょう。

Equinix Cloud Exchange FabricECX Fabric™)の詳細とソフトウェア定義インターコネクションを利用して新規にオンデマンド接続を確立する方法については、こちらをご覧ください。

[1]AI and its Pivotal Role in Transforming Operations Trend Analysis Report, by Mark Newman, published by TM Forum, December 2018

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