遅延を解決するための5つのステップ

エッジ接続による近接性が、企業に最大の投資効果をもたらす

企業/組織がアプリケーションの遅延を改善するために費やす時間と費用を考えた時に、背筋が寒くなるような思いをした情報システム担当者は少なくないでしょう。米国のソフトウェア企業であるTurbonomicの調査結果によれば、遅延解決のアプローチには、システムやアプリケーションに関する戦術から、ネットワーク最適化に向けた修正に至るまで、様々な方法があるようです。

しかし残念ながら、それらのアプローチは「単発の対症療法」的なものであり、ほとんどの遅延(距離)の問題に関する原因に直接踏み込んでおらず、根本的な解決には至っていません。さらに言えば、システム、アプリケーション、ローカル・ネットワークにおける遅延の、ある要素にのみ注目しているため、むしろマイナスの効果をもたらしている可能性も少なくなりありません[i]
ネットワークの速度、システム、アプリケーションのパフォーマンスに対して、遅延が及ぼす影響を解決する最も直接的なアプローチは、ユーザー、アプリケーション、パートナー間の距離を取り除くことです。 つまり、人、クラウド、データ、モノ、各企業のエコシステムが相互に交わる、最も近い場所である「エッジ」に、遅延に影響を受けやすいアプリケーションのワークロードを分散させることで、遅延の問題に対処できるようになるのです。

エッジでのプライベート相互接続により、物理的な距離を削減

大量のワークロードとデータ交換に対するユーザーとアプリケーションの要求が増加すれば、遅延への耐性が低下します。これまでも多くの企業がアプリケーションのワークロードをクラウドに移行する動きを見てきましたが、実際、多くの企業では遅延の問題を解決できていません。
真の問題は、クラウドへアプリケーションを移行したとしても、遅延の根本的な原因である「クラウドサービス、ユーザー、バリューチェーンのパートナー間の距離」を解決できていないことです。 
しかし、もしITトラフィックの交換ポイントを従業員やお客様、サードパーティのビジネスパートナーに近接する戦略的都市に配置できれば、ユーザー、クラウドアプリケーション、およびサービス間の遅延を大幅に削減可能となります。そうした距離を削減することにより、ネットワーク、クラウド、SaaS、サプライチェーンのパートナーなどが密集したエコシステム内で、既に相互接続されているデジタルコンシューマー(企業)と生産者(サービスプロバイダー)間の遅延も抑制できるようになります。
また、高頻度のトレーディングをはじめ、デジタルコンテンツやオンライン広告などで実証されているように、特定の業界内で競争優位性を得るためには、遅延のない優れたパフォーマンスが不可欠です。そのためには、同じ施設やキャンパス内で閉域接続が可能なコロケーション・データセンターを選択し、そこに自社のアプリケーションを配置するとともに、ユーザー、サプライチェーン、ワークロードなどを相互接続させるような仕組みが必要となります。これにより、最大数の取り引き先に対し最短距離で接続することが可能となり、より優れたパフォーマンスを享受できるようになります。

近年では、インターネットをバイパス(迂回)して、ネットワークプロバイダーとプライベートに相互接続することで、自社のネットワークをデジタルビジネスへ最適化させようとする企業が増えています。 Global Interconnection Index (the GXI) Volume 2(エクイニクスが発行している年次調査報告書[ii])によれば、企業が求める、ダイレクトかつセキュアな相互接続を可能とする接続先パートナーとして、ネットワークプロバイダーを上げる回答は最大の割合となる66%にも達しています。 また、既存の相互接続帯域幅の容量の側面から見た場合、クラウド&ITプロバイダーの2017-2021年の年平均成長率(CAGR)は98%に達していることが報告されているなど、最も急速に拡大しているエコシステムパートナーであることが示されています。

接続先別の相互接続帯域幅(Tbps

 

相互接続帯域幅とは、キャリア中立型のコロケーション・データセンター内に分散配置されたITエクスチェンジにおいて、プロビジョニングされる様々な接続先パートナーやプロバイダー同士が、プライベートかつ直接的なトラフィック交換を行う際の総容量を示します。

近接性 + エッジ = 低遅延と費用低減

こで、分散型エッジ戦略を推進することで低遅延を達成した、エクイニクスの顧客企業の事例を紹介しましょう。この企業は生命保険会社であり、自社のIT基盤を中央集権型のアーキテクチャーから、分散型のメトロエッジアーキテクチャーに移行しました。 
Platform Equinix®
上で
Interconnection Oriented Architecture™ (IOA™) ベストプラクティスを活用することにより、プライベート相互接続ハブを介し、ローカルのクラウドにユーザーを直接かつ安全に接続することを実現しています。さらにそれらのハブは、地域の都市間で「ファブリック」を形成し、相互接続を行っています。
自社のIT基盤を中央集権型から分散型に移行することで、この保険会社は遅延を抑制するとともにコストも削減、そして従業員1人当たりの帯域幅を最適化することができました。

  • 往復での遅延を40%低減
  • ネットワークの最適化とクラウド接続により費用を60%節約、1年間で6.7百万ドルのコスト削減を達成
  • 従業員一人当たりの推奨帯域幅を5%から150%超まで増加

このような画期的な成果が実証しているように、エクイニクスのような企業が提供するグローバルな相互接続やコロケーションプラットフォームに企業のITアーキテクチャーを分散配置させることで、投資対効果(ROI)を大幅に向上させられるようになります。 様々な場所に展開する複数のITサービスやアプリケーションインスタンスを管理するオーバーヘッドを容易に上回るため、デジタルビジネスの優位性を最大限に活用できます。

さらに分散化されたITアーキテクチャーの実装に向けた5つのステップ

Platform Equinix上でIOA戦略を活用することは、柔軟性やパフォーマンス、そして拡張性に優れた分散型ITアーキテクチャーを実現するための、最も効率的な道筋となります。IOA Network Blueprintをベースにした以下の5つのステップを辿ることで、地域のデジタルビジネスにおけるエコシステムの接続性を活用しながら、ネットワークを最適化しアプリケーション/ワークロードの遅延を低減することが可能となります。
以下に示しているように、「制限されたポイント・ツー・ポイントの接続性」から、ユーザーとローカルサービス間の接続を、プライベートかつ直接的なITトラフィック接続ポイントを介して最

適化する「マルチ接続ポイント」へと移行することで、距離に起因する問題を解消できるようになります

相互接続前                                 相互接続後

ステップ1: ネットワークの最適化とローカル化

ユーザー、パートナー、カスタマー、そしてビジネスが行わる場所に、より近い都市圏のエッジに1か所、あるいはそれ以上の相互接続ハブ(エッジノード)を構築する。

ステップ2: セグメントトラフィックのフロー

デジタルサービスのフローの分離とともに、マルチクラウドとパートナーネットワークの統合を準備する。

ステップ3:マルチクラウド接続を構築

クラウドサービスのバリューチェーン、およびアプリケーションとデータを、ローカル側において相互接続したクラウドプロバイダー間で統合。必要に応じてSaaSサービスにもアクセスする。

ステップ4: エッジでのインターネットのオフロード

全トラフィックを相互接続用のハブに取り込むとともに、インターネットペアリングを利用してパブリックインターネットのトラフィックを直接ルーテイングすることで、管理項目の追加とリスク軽減によるメリットを享受できるようになる。

ステップ5:エコシステムへの接続

デジタルコマースやデータ交換のためのビジネスパートナーやエコシステムへ、相互接続を実施

以上の5つのステップは、低遅延を実現するネットワークの最適化だけではなく、アプリケーションのパフォーマンス向上、セキュリティの確保、そして拡張性の大幅な改善といった、多くの恩恵ももたらしてくれます。

投資に対するリターンが見込めないデータセンター基盤の改修に資金を投入し続けるのではなく、エッジに対応したアーキテクチャーを採用することにより、アプリケーションに関する遅延を解決できるようになります。プライベートな相互接続をエッジで活用する方法については、Global Interconnection Index Volume 2をご覧下さい。

ご参考までに以下もどうぞ

Network Speed vs. Bandwidth?

What’s Your Digital Maturity?

How Equinix Interconnection Delivers a 328% ROI

[i] Turbonomic, “The 100 Million Dollar Millisecond: The Cost of Latency in the Data Center (Part 1).”

[ii] Equinix, “Global Interconnection Index Volume 3,” 2019.(ブログ投稿後、1021日にGXI第3版リリース)

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